チャレンジした事業に失敗した場合どうなってしまうの?(法人編)【ホショウ、ダメ、ゼッタイ】

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こんにちはMitchです。前回「チャレンジした事業に失敗した場合どうなってしまうの?(個人事業編)」という記事を投稿しました。
今回はその法人編です。

前提として、事業を興すために株式会社なり合同会社なりの法人を設立して、その法人で事業をしていた、ということにしましょう(合同会社や合資会社といった形態もありますが、マイナーなのでここでは一般的な株式会社と合同会社に絞ります。)。

また、倒産に関しては、会社が存続する場合の民事再生手続や会社更生手続、会社を消滅させる場合の破産手続や特別清算手続など、さまざまな制度が用意されています。
ただ、今回は事業に失敗した場合にどういった不利益があるか、再チャレンジが可能か、という面に注目して説明したいので、こうした手続についての詳細は省きます。

この投稿を読むとわかること
・会社の株主・社員有限責任の原則
・株主・社員有限責任の原則が覆る場合
・再チャレンジの可能性のためにも配慮しておくべきこと

目次

原則論: 株主・社員有限責任の原則

株式会社や合同会社といった会社は、当たり前ですが生身の人間が実際には所有し、経営を行います。

しかし、会社には法律上は、「法人格」という1つの人格が与えられることになります。

法人格が与えられたことで、会社自身が法律行為の主体となることができ、お金を稼いだり、費用を支払ったりすることができます。

そして会社の大きな原則として存在するのが

株主有限責任の原則」(合同会社の場合には「社員有限責任の原則」)

です。
具体的には、出資をした人は、自らが出資した額以上に責任を負わない、とする原則です。

例えれば、会社に100万円出資した人は、たとえ会社の事業が傾いて債務超過で倒産することになったとしても、会社の負債が50万円残っていたとしても、債権者に対してこの50万円の支払については責任を負わない、というものです。

会社についてはこの株主・社員有限責任という大原則があるため、チャレンジした事業に失敗し、法人が負債を負って倒産したとしても、この法人の負債については、原則として、出資した人が出資したお金を失うということ以上に責任を負うことはありません。
このため、失敗してもまた法人を立ち上げ、再起を図ることは可能です。

例外: 個人保証をしている場合

上記では、会社法の下では株主・社員有限責任の原則により、負債を抱えた会社が倒産しても、出資者は出資以上の責任を負わず、このため新たな法人を立ち上げることは自由である、と説明しました。

しかし、これに例外があります。それは、会社の債務について、出資者(中小企業だと出資者兼経営者の場合が多いですよね)が個人保証をしている場合です。

前回の「チャレンジした事業に失敗した場合どうなってしまうの?(個人事業編)」という記事の中で、

破産者が負っている債務について誰かが保証・連帯保証をしていた場合、債務者が破産した場合こそまさに保証の役割が果たされるべきときです。

と書きました。

これは法人でも同様で、法人が負っている債務について出資者が保証・連帯保証していた場合で法人が倒産した場合こそ保証の役割が果たされるべきなのです。

このため、通常は、債権者は出資者に対して保証債務を履行するように迫ってくるはずです。

ここでは、「株主・社員有限責任の原則」を持ち出してみても、それとは別の「保証」という枠組みの中で支払を迫られることになるため、「株主・社員有限責任の原則」は意味がない、ということになります。

将来の最悪の事態に備えてどうすべきか?

将来のことは誰にも分かりません。
チャレンジした事業が成功する可能性もあれば、失敗する可能性ももちろんあります。

法人の事業で失敗した場合に、保証のせいで自分が莫大な支払債務を負ってしまうことがないよう、法人の債務に対して個人保証をすることについては慎重であるべきです。

もちろん、会社の立ち上げ段階での借入れのため会社に信用がなく、個人保証をせざるを得なかった、といった場合も考えられます。
こうした場合は、例えば会社が軌道に乗ったら個人保証を外してもらえないか債権者に交渉するなどして、自分が最悪の事態に陥ったときの再チャレンジの可能性を確保しておくべきです。

多くの人が事業にチャレンジして、もし失敗しても今度はさらに工夫してチャレンジする、という社会になればと願っていますし、この投稿が何かのお役に立てたら幸いです。

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