米国の長期金利上昇がもたらす影響

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こんにちはMitchです。

先日「金利と株価の関係【相関・逆相関】」という記事を投稿しました。
この記事の中では、金利と株価の関係について考えました。
株式もバリュー株とグロース株に分けて説明しました。

そして、米国時間の2021年2月16日夜、米国10年債利回りが急上昇し、1.299%となりました。新型コロナが蔓延を始める2020年2月末以来の高い金利となっています。

本記事では、先日の先日「金利と株価の関係【相関・逆相関】」という記事のもう少し基本的なところで、短期金利と長期金利の関係や、米国10年債利回り(金利)が上昇する、というのはどういうことなのか、といった点について説明しながら、米国の長期金利上昇がもたらす影響について考えます。

この投稿を読むとわかること
・短期金利と長期金利とは
・短期金利と長期金利の関係
・米国10年債利回りが上昇していることの意味・影響

目次

短期金利と長期金利

皆さんの中には「政策金利」という言葉を聞かれた方も多いと思います。
国によって制度が異なるため、以下の説明は米国の制度に限定し、けっこうざっくりですが分かりやすく説明します。
この政策金利が何かというと、米国の銀行は、その義務として連邦準備銀行に無利息でお金を預けなければならないことになっており、その預金に過不足があれば、短期金融市場で、銀行間において貸し借りして融通しています。その貸し借りの際に用いられる金利が政策金利(Federal Funds Rate、FF金利とも言われます。)で、これが短期金利と言われるものです。

長期金利は、この短期金利に、以下の要素を含む市場の判断が加わることによって増減するもの、となります。

  • インフレ率
  • 成長率
  • 将来の不確定性、不安定性 等

ということで、イメージではこんな感じです(色を2色しか使わなかったので分かりにくいでしょうか…)。

つまり、長期金利が上昇する、ということは、インフレ率や成長率が加味されたり、市場が将来を不安視したりしている、ということを示すことになります。

米国10年債利回りが上昇するというのはどういうこと?

上記では、長期金利が変動する要素にはどのようなものがあるのか、という点について説明しました。

米国では、長期金利の上下の指標として使われるのは10年債の利回りです。

この米国10年債の利回りが上昇する、というのはどういうことなのでしょうか。考えられるのは、関連していますがあえて分けると以下の3つではないかと考えています。

国債の価値が下がっている

人が借金する場合、返済見込みに不安があれば高い利息でないと借りられません。
一方で、必ず返済してくれると見込まれれば、支払う利息は低くなる、というのが通常です。

国債も同じで、将来的な不安がある場合、国債も利回りが高くないと投資してくれる人がいなくなってしまう、ということになります。
つまり、国債の価値が低くなってしまっている、ということを示します。

米政府の動向を不安視している

新型コロナがまだしばらく収束しないと見込まれる状況下で、バイデン政権は、トランプ政権を引き継いで大規模な財政出動をしようとしています。
財政出動とは、政府が国民に補助金を支給するなど、景気の改善を目指して政府が支出することを指す、と考えて下さい。

米国10年債利回りが上昇している、ということは、米政府は大規模な財政出動を続けており、市場が米政府の財務状態を不安視している、ネガティブに捉えている、そのため、利率が上がっている、ということを示しています。

景気が良くなっている?

通常は景気が良くなれば資金需要も増え、金利が上がります。

米国の方も全く実感はないと思いますが、すでに景気が上向きになってきていることの反映として米国10年債金利が上がっている、という可能性も全くないわけではありません。

米国10年債利回り上昇の影響

そこで本題に入るとして、米国10年債利回りが上がっていることで、我々にどのような影響があるのでしょうか。

グロース株に対する悪影響

この点は「金利と株価の関係【相関・逆相関】」で述べたとおり、米国債の利回りが良ければ、確実なリターンを求める投資家は米国債に投資先を変えることになります。
この際に投資が引き揚げられる影響を受ける可能性があるのはグロース株ではないかと考えられます。

インフレ

米国10年債利回りが上がっているということは、インフレが発生している、ということではないか、という懸念がないわけではありません。

ただ、現在のところはまだまだ米国10年債利回りは約1.3%程度ですのでまだまだインフレを懸念するレベルではないのかな、と考えています。

景気回復?

金利の上昇と景気の改善はどちらが先なのか、鶏と卵のような関係に思えるため、私もよく分かっていません。
ただ、米国10年債利回りが上がっていることは景気回復を示しており、景気回復の恩恵を我々が受けられる、という良い影響を受けることはあり得ます。

まとめ

米国10年債利回りが上昇していることからの影響について、短期金利と長期金利の関係などを踏まえて説明しました。

なかなかクリアに説明することが難しい分野のように感じますが、本記事が経済に対する理解の一助になれば嬉しいです。

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