インドネシアの財閥【経済は華僑・華人が握っている】

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こんにちはMitchです。5年半の東南アジアでの駐在生活のうち2年をインドネシアで過ごしました。
インドネシアでは、日本企業をサポートし、インドネシアの財閥の方々と、合弁や合弁解消に関する交渉などをしてきました。

今回は、インドネシアの財閥について説明していきます。
インドネシアに続いて、私が駐在したシンガポールとマレーシア、そしてタイなんかも紹介できればと考えています。

東南アジアの財閥なんてあまり興味がないよ、という人もいるかもしれませんが、東南アジアで大きくビジネスをやってやろうという場合、財閥との関係が欠かせません
何となくグループの名前を覚えておくだけでも今後の役に立つ可能性がありますので、読み物的な感じで目を通してみて下さい。

この投稿を読むとわかること
・インドネシアの財閥名
・インドネシアの財閥がどのようなビジネスをしているか

目次

インドネシアの財閥

今回は、インドネシアの以下の4つの財閥を取り上げてみます。
いずれもトップはForbesの「Indonesia’s 50 Richest」に名を連ねる方ばかりです。

  • サリム・グループ
  • ジャルム・グループ
  • シナルマス・グループ
  • リッポー・グループ

いずれも創設者や先祖が中国からインドネシアに渡ってきた華僑や華人の方々です。
よく、

インドネシアの経済は華僑・華人が握っている

と言われますが、こうして出自を確認してみるとあらためてこの言葉に間違いが無いことを痛感します。

各財閥には上場している会社もあり、財務分析までできれば最高なのですが、今回は省略し、グループの紹介だけにとどめます。

サリム・グループ

概要

サリム・グループは、食品とフランチャイズを中心に他分野に進出している、東南アジア最大のコングロマリットと言われています。

インドネシアの街を歩けば必ずすぐに見つかる「Indomaret」もサリム・グループに属しています。

出典: Indomaret.co.id

現地にいれば一度は食べるIndomieを生産するIndofoodもサリム・グループに属します。

出典: TRIBUNnews.com

こうした食品分野以外でも、インフラ事業、通信、天然資源、金融、そして自動車といった分野で事業を展開しており、まさに東南アジア最大のコングロマリットの名にふさわしい事業展開をしています。

Tinuku.comというサイトから、サリム・グループが展開する代表的なビジネスを集めた図を参照します。

合弁企業も名だたる企業が並んでいます。

家系

サリム・グループの創始者は福建省出身のスドノ・サリム氏です。

スドノ氏は第二次世界大戦後、スハルト大統領を含む軍幹部との人脈を用いてビジネスを成功させ、一代で財を成しました。

現在はスドノ氏の三男のアンソニー・サリム氏がトップで、アンソニー氏はForbesの「Indonesia’s 50 Richest」では第4位にランクしています。

ジャルム・グループ

概要

ジャルム・グループも、サリム・グループと同様に他分野に展開していますが、中でも最も有名なのはインドネシアの民間最大銀行であるバンク・セントラル・アジア(BCA)です。
BCAはもとはサリム・グループに属していましたが、アジア危機後にサリム・グループからジャルム・グループに支配権が移りました。

食品とフランチャイズを中心に他分野に進出している、東南アジア最大のコングロマリットと言われています。

ただ、もともとの創業のきっかけはジャルムというタバコです。
財閥名の由来ですね。

出典: Smoking Room

ジャカルタの中心部に位置する高級ショッピングモール「グランドインドネシア」もジャルム・グループの運営によるものです。

出典: Gland Indonesia

家系

ジャルム・グループの創始者であるオイ・ウィー・グアン氏は、サリム・グループの創始者スドノ・サリム氏と同様、福建省出身です。
福建省の方は歴史的な経緯なのか、それとも偶然なのか、開拓者精神に富んだ方が多いのかもしれません。

現在はオイ・ウィー・グアン氏の息子さん2人がグループを仕切っていて、この2人は、Forbesの「Indonesia’s 50 Richest」では堂々の第1位にランクしています。

シナルマス・グループ

概要

インドネシアには多くの日本の製造業者が進出しており、ジャカルタ近郊にある工業地帯などに工場を置いて事業を展開しています。
こうした工業地帯の開発で有名なグループがシナルマス・グループです。

出典: RedDuckPost.com

不動産開発だけでなく、シナルマス・グループは金融業にも広く事業展開しており、銀行や保険の会社を傘下に抱えています。

また、日本のヤフージャパン参加のYJキャピタルとともにEast Ventures Growth Fundを設立し、インドネシアのスタートアップに投資するという事業もしています。
(YJキャピタル、インドネシア最大級の財閥シナルマス・グループと連携し、東南アジアを中心に投資する新ファンド「EV Growth Fund」の組成を決定)

家系

驚くべきことに、シナルマス・グループの創始者であるエカ・チプタ・ウィジャヤ氏も福建省出身です。

エカ・チプタ・ウィジャヤ氏はもともとは裕福な家庭のご出身ではなく、最初はビスケットの販売をしていたそうです。

現在はエカ・チプタ・ウィジャヤ氏の4人の息子さんがグループを仕切っていて、このグループは、Forbesの「Indonesia’s 50 Richest」では第2位にランクしています。

リッポー・グループ

概要

リッポー・グループも不動産開発で有名です。よく知られたところではリッポー・チカランが挙げられます。
不動産開発については、国内に留まらず、香港・シンガポールに拠点を置き、インドネシア国外でも事業展開しています。

不動産開発だけでなく、ハイパーマートやマタハリデパートメントストアなど、小売のビジネスも行っています。

(出典: Wikiwand)

ちなみに、私はこのマタハリデパートメントストアの株式を保有していますが、Eコマースの隆盛とコロナ禍の影響で下落を続けています…

家系

リッポー・グループの創設者であるモフタル・リアディ氏はインドネシアのマランの出身です。中華系インドネシア人の家系に生まれ、最初はサリム・グループのスドノ・サリム氏に見い出されて出世したようです。

一代で全世界にビジネスを展開する財閥を作り上げたというのは、本当にすごいとしか言いようがないです。

現在はお子さんに事業を任せているようですが、90歳代になった今でもご健在のようです。彼は、Forbesの「Indonesia’s 50 Richest」では第21位にランクしています。

まとめ

インドネシアにいくつかの財閥があるなかで、代表的な財閥4つを紹介しました。

トップは全員中華系の方々でした。特にサリム・グループ、ジャルム・グループ、そしてシナルマス・グループの出自が福建省であるということもなかなか面白いと感じました。

どの財閥も現在はITに大きな投資をしているようで、今後の展開や勢力図の変化もとても楽しみです。

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