こんにちはMitchです。日本の高配当株と米国の高配当ETFを保有しています。
本稿を投稿する前日の2021年2月9日、高配当株として有名だった日本たばこ産業株式会社が決算を発表し、ついに減配を発表しました。
JT(日本たばこ産業)、上場来初の「減配」を発表し、配当利回り7.1%⇒6.0%に! 2021年12月期から配当の方針を変更、前期比24円減の「1株あたり130円」に
これを受けて株価は10%弱急落しました(その後少しだけ値を戻しています)。
本記事では、JTの事例をもとに、高配当株投資の問題点やリスクについて考えてみます。
・高配当株投資の問題点やリスク
・高配当株投資をする際の注意点
目次
高配当株投資の問題点
高配当株投資の問題点
先に結論からお伝えすると、高配当株式投資の問題点は
「成長しない、または成長することを会社自身が想定していない会社に投資をしている。」
ということです。
なぜ問題なのか
一般的に会社はその成長が使命です。会社は、利益が出た場合、人材育成や設備投資など、将来の成長のために投資する、というのが一般的です。
仮に会社で出た利益を10とします。
会社が産み出したこの10の利益を会社がどう使うかはもちろん会社次第です。
もし同じ業界で競争している同じ規模の会社Aと会社Bがあった場合を想定すると…
会社Aは利益10を全て会社の成長のための再投資に使ったとします。
この場合、(一般論としては)会社Aは投資した10の分だけ成長することができます(相乗効果などで10よりもっと成長できる可能性もあります。一方で再投資はその投資額ほどには成長できないという見方もあるにはあります。)。
一方で、会社Bは利益10を全て株主の配当に使ったとします。
この場合、会社Bの株主は満足するかもしれませんが、会社Aと比べると10の分だけ将来の成長の機会を失いました。
このように、もともと数(量)が決まっていて限りあるものを将来のために使うのか、今のために使うのかというところで差がついてきます。そしてこれが何年も続くとどんどん差がついていきます。
また、JTのように禁煙が大きな流れになっている中で、そもそも投資する先を見つけにくくなってしまっていて成長したくてもできない、そのため配当に回すしかない、という状態も考えられます。
高配当株投資のリスク
高配当株式投資の問題点は「成長しない、または成長することを会社自身が想定していない会社に投資をしている。」と説明しました。
この投資から生まれるリスクは
- 減配リスク
- 株価低下リスク
です。
1はまさにJT株によって顕在化しました。
2については、上で説明したとおり、成長しない会社への投資である以上、企業価値を維持できれば御の字で、今後企業価値が下がる可能性があります。
企業価値 = 1株あたりの株価 × 株数
で表されますので、株価が下がることは企業価値が下がることを意味しますし、逆もしかりです。
高配当株投資をする際に注意・留意すべきこと
上記を踏まえて、高配当株投資において注意すべきことは2点あると考えています。
具体的には以下の2点です。
- 高配当が続くことに過度な期待をしない
- 含み損が出始めた段階で処分するかどうか検討に入る
簡単に説明します。
高配当が続くことに過度な期待をしない
今回のJTの減配でも明らかになったように、今後必ず高配当が続く保証はありません。
特に、日本の会社は、「株主が会社のオーナーである」という意識が米国企業と比べると弱く、少しでも業績が悪くなると、経営者が「減配しちゃえー」とか「無配でいいやー」としてしまうことについてのハードルが低いです。
こうしたマインドは日本の経済全体の問題であり、これを変えるのは一朝一夕でできることではありません。
投資家としては、減配や無配になる可能性を意識し、高配当を受けていることについて過度な期待をしない、という心持ちが必要だと考えています。
含み損が出始めた段階で処分するかどうか検討に入る
仮に含み損が出ている段階で、この含み損を相殺できるような配当があるからいいや、という考え方もあるかもしれません。
しかし、その後同じレベルでの含み損で済ませられるかどうかは分かりません。どんどん株価が下がっていく可能性もあります。
上記のとおり、
企業価値 = 1株あたりの株価 × 株数
ですから、株価が下がっているということは企業の価値が下がっていることを意味します。
この時点で高配当をもたらしている会社でも、株価が下がり出している株式を保有し続けることが果たして良いのかどうかを考えるタイミングは、含み損が出始めた段階がやはり良いのではないかと考えています。
まとめ
高配当株式投資の問題点とリスク、考え方について書いてきました。
他の会社と比べて配当率が良いという状態は、やはり特殊なわけで、そうなっている理由があると考える必要があります。
過度に期待をせず、高配当投資を楽しんでいきましょう。
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