チャレンジした事業に失敗した場合どうなってしまうの?(個人事業編)

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こんにちはMitchです。留学前に所属していた法律事務所では事業再生を専門の1つにしていました。

今年は自分自信もチャレンジの年にしたいと考えており、年始の書き初めでは

「挑戦と継続」

と書きました。

ビジネスという面では、自分で事業にチャレンジするということも考えています。

一方で、もちろん全てが上手くいくわけではありませんから、そのチャレンジが失敗してしまう、ということも全くないとはいえません。

そこで、今回は、事業に失敗した場合にどのような不利益や不都合があるのか、という点について考えてみます。
本記事をご覧いただければ、失敗しても意外と大したことないじゃん、と思ってもらえるはずです。

この投稿を読むとわかること
・事業に失敗した場合に採れる手段
・破産手続と再生手続のメリット・デメリット

目次

チャレンジした事業に失敗した場合

何をもって「失敗」というのかは議論があるかもしれませんが、もし一念発起して事業を興したものの、その事業が失敗した場合、考えられる選択肢は限られています。

まず、借入金等の負債がない場合とある場合で大きく異なってきます。

借入金等の負債がない場合

赤字や債務超過ではないものの、自分の事業の将来的な展望が見い出せない、という場合もありえます。

この場合には単に個人として立ち上げた事業を止めるだけでそれほど特殊な作業が必要、というわけではありません。

借入金等の負債がある場合

問題は借入金等の負債がある状態で事業を終わらせようとする場合です。
あらためて企業に就職するなどして借入金等の負債を返済していくことができればいいのですが、それが難しい場合で負債を帳消しにした、減らしたい場合に採れる選択肢は、破産手続と再生手続の2つです。

破産手続

破産手続と免責

債務の返済が困難で、債務を帳消しにしたい人は、一定の要件を満たす場合に限って裁判所に対して破産手続を申し立てることができ、この場合、例えば他人を騙す行為があったという特別な場合を除き、一般的には債務が帳消しになります(「免責」といいます。)。

破産手続のその他のメリット

破産手続が開始された時点で、破産手続は裁判所(破産管財人)の指揮下に置かれますので、債権者は破産者に対する取り立てができなくなります
これで負債を抱えた人は少し落ち着いて過ごせるようになります。

また、破産したからといって身ぐるみ剥がされるというわけではなく、生活に必要な現金(99万円以下)、預貯金(20万円未満)、そして生活に必要な物については取り上げられることはなく、手元に置くことができます

破産手続に対する偏見

一方で、巷にあふれる破産手続に対する偏見もあります。

  • 破産したことが近所に知られる
  • 賃貸住宅を追い出される
  • 会社をクビになる
  • 子供の就職に影響が出る
  • 海外旅行にいけなくなる などなど…

これらは該当しないものがほとんどです。

ただし、2番目の賃貸住宅については、家賃を支払っていなければもちろん賃貸借契約に違反すると考えられるため、賃貸借契約が解除され、明渡請求を受ける可能性が高い点はもちろんです。

破産手続を採ったことのデメリットと実際

何のデメリットもなく借金がチャラになることはありえません。
以下のようなデメリットが考えられます。

官報に掲載されてしまう

まず破産者の破産手続について官報に掲載されます。破産者が破産手続に入ったことを破産者の利害関係人に知らせる目的があります。
ただ、官報を見たことがある一般の方はほとんどいないはずです。
破産手続について官報に掲載されるというデメリットは、実際の生活において大きな悪影響があるとは思えません。

ブラックリストに載る

破産手続を採ると、金融機関のブラックリストに載ると言われており、数年間は銀行口座の開設ができない、クレジットカードの開設ができない、といった不都合があると言われています。
ただ、こちらも現金主義で何年か生きていけば済む話で、カードを使わず現金を使って生活している人も多いわけですから、工夫次第で生活を成り立たせることはできるはずです。

保証人に迷惑がかかる

破産者が負っている債務について誰かが保証・連帯保証をしていた場合、債務者が破産した場合こそまさに保証の役割が果たされるべきときです。
このため、債権者は保証人・連帯保証人に対して債権回収を図ろうとします。
保証人・連帯保証人が債務を履行しないということはできないため、破産者は保証人・連帯保証人に対して先にお詫びして債務を履行してもらうしかありません

一定期間一部の仕事ができなくなる

例えば弁護士の場合、弁護士法上、破産手続開始後復権するまでの期間は弁護士としての資格が認められないため(欠格)、この期間は弁護士としての仕事ができません。
その他司法書士や税理士、金融業など、人のお金を預かる関係の仕事の多くについて、免責決定まで、または復権までの期間できなくなります。
こればかりは仕事の性質上やむを得ないかなと考えられます。

再生手続

個人再生手続のメリット・デメリットも破産法と基本的に同じです。

1つ違うのは、どのような場合でも再生手続を利用できるわけではなく、小規模個人再生手続という手続を使う場合であっても、給与所得者再生手続という手続を使う場合であっても、給料など定期的な収入を得る見込みがある者でなければ使うことができません
この点が破産手続と大きく異なります。

まとめ

これから何らかの事業にチャレンジするぞ!と考えていらっしゃる方も多いはずです。

こうした方が、失敗を極端に恐れるあまりはじめの一歩を踏み出せないというのはあまりに惜しいです。

上記のとおり、もちろん失敗した場合のデメリットはあります。

しかし、破産しても命を取られるわけではなく、カードが使えないなど、しばらくの間少し不自由な生活をしながらでも、少しの間我慢して乗り切ればまたチャンスは訪れます

是非失敗を恐れることなくチャレンジしてみて下さい。私もチャレンジしたいと思っています。

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