暗号資産の出口戦略【今のところガチホしかないのでは】

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こんにちはMitchです。
ここ最近、ビットコインの価格が急上昇しています。
本稿を投稿する2021年1月8日現在、すでにビットコインは400万円/1ビットコインを超えています。

 

 

 

 

 

 

 

(Bitflyerのサイトより引用)

機関投資家もビットコイン投資に参加してきているようで、2020年3月に50万円台だったものが、1年弱で約8倍に上昇しました。
そんなわけでもう知識のある人もない人もビットコイン買っとけ~!とお祭り騒ぎのような状況になっています。

買う方はえらい騒ぎになっていますが、その一方で、ビットコイン含む暗号資産の売却の場面でどのようなことになるのか、特に税務面ではどのような対応が必要になるのか、という点についてはそこまで深く考えて買っとけ買っとけ言っていないように感じます。
そこで、今回は暗号資産を売却した場合に税務面でどのような対応が必要になるか、という点を中心に議論してみます。

この投稿を読むとわかること
・暗号資産を売却して利益を得た場合の税務処理
・暗号資産を買い替えた場合の税務処理
・今後の税務面での見込み

目次

暗号資産を売却して利益を得た場合

暗号資産を売却して利益を得た場合の税務上の取扱い

例えばビットコインを売却して利益が出た場合、この利益に対する課税はどのように成るのでしょうか。私達はどのように処理する必要があるのでしょうか。

国税庁は「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)」と題するページでこの点を説明しています。
引用しますと、
—–
暗号資産を売却又は使用することにより生ずる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され所得税の確定申告が必要となります。
—–

ここで「雑所得に区分され」る、とはどういうことなのでしょうか。
以下でもう少し掘り下げてみます。

利益が雑所得に区分されるとどうなるのか?

まず、雑所得に区分される、ということは、株式売買などで利益を得た場合に源泉分離課税されるのとは異なる、他の所得とまとめて取り扱われる(総合課税の対象となる)、ということです。

ここで、源泉分離課税、総合課税という新しい用語が出てきました。
源泉分離課税とは、他の所得とは分離し、税金が一定税率により源泉徴収され、その徴収が行われれば納税が完了する、というものをいいます。文字通り源泉徴収され、所得の受取時には税金分が差し引かれたものが手残りになりますので、所得を受け取る時点で税金分が差し引かれているので、確定申告の対象となる所得からは除かれます。
株式の配当や預貯金の利息などの一定の範囲で認められたものが源泉分離課税の対象で、所得税15.315%、住民税5%の計20.315%が源泉徴収されることになります。
源泉分離課税の場合、この税率で決まっており、いくら利益が出ようがこの税率になります。

雑所得に分類されるとは、こうした取扱いを受けず、給料などと一緒にされた形で税率の計算がなされる、ということを意味します。
この場合の税率は所得の金額に応じて累進的に上がり、最大55%にまで上がります。源泉分離課税の場合ととんでもなく違いますよね…。

総合課税は分離課税の対概念で、諸々の所得を総合して課税の対象とする、という意味になります。

雑所得に分類されることのメリット・デメリットについて考えてみます。
メリットは……、特に思い浮かびませんでした…。
デメリットは、損益通算ができない、ということに尽きると思います。

ここでまた損益通算という新しい用語が出てきました。
損益通算とは、(一定期間内の)利益と損失を相殺する、つまり打ち消し合うことを言います。簡単に言うと、課税の基準となる課税所得を減らすことができる、ということです。
税法上は9つの所得区分があり、例外はありますが、ざっくり言えば、同じ所得区分に区分される利益と損失(経費等)は損益通算、つまり相殺することができます。
雑所得は、上記の9つの所得区分に入らない扱いになる所得をいい、これは損益通算ができません。
具体的にどういうことかというと、例えば何かの事業で経費として計上できるものがあったとしても、この経費は事業所得という所得区分の所得とのみ損益通算され、雑所得とは損益通算できない、ということになります。
簡単にいうと、課税の基準になる課税所得を減らすことができない、つまり、さらに簡単に言うと、税金をたくさん払う必要がある、ということです。

暗号資産を別の暗号資産に買い替えた場合

暗号資産を別の暗号資産に買い替えた場合(交換した場合)についてはあまり議論されていないようですが、細かく区切ると、

  1. 当初の暗号資産の利益確定
  2. 利益確定後の資産で別の暗号資産を購入

ということになると考えることができます。
そのため、1の時点で利益が確定的に出ていますから、この利益のために確定申告が必要、ということになります。
国税庁の「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報) 」の事例3で示されているものとなります。

ちなみに、上記の1で利益が出たので税金を支払い、2で変な暗号資産を買って値下がりした場合などはとんでもないダメージですね…

暗号資産投資の出口戦略

上記のとおり、現在のところは暗号資産投資を通じて得られた利益は雑所得扱いで、損益通算ができないため、利益は基本的にはそのまま課税されることになります。

ただ、FXでの利益は2012年より前は雑所得扱いであったものが、同年以降分離課税の対象になったように、投資対象が一定の地位を得た場合、雑所得とされて総合課税の対象となっていたものが、分離課税の対象になるということは十分に有り得ます。
そこで、暗号資産投資で得た利益に対して、できるだけ支払う税金を減らすためには、

ガチホして暗号資産投資による利益が分離課税扱いとなるまで待つ

という方法しか現状は選択肢がないのではないかと考えられます。
いつそうなるか全く読めない中で、価格の乱高下の程度が激しい暗号資産を持ち続けるのはなかなかメンタル的に辛いものがありますが、税金のことを考えるとガチホ一択、ということになると思われます。

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