金利と株価の関係【相関・逆相関】

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こんにちはMitchです。再生可能エネルギーに投資する投資ファンドで組織内弁護士をしながら個人でも投資活動をしています。

今回は米国10年債利回り(Treasury Yield 10 Years (TNX))と株価、特にグロース株の関係について議論します。

本稿を書いている2021年1月7日(米国時間の2021年1月6日)、米国10年債の利回りが1%を超えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(Yahoo Financeより)

2020年3月に新型コロナウィルスが蔓延していることが懸念され、米国10年債の利回りは0.5%まで落ち込みました。
まだまだ2021年1月現在では新型コロナウィルスの蔓延状況が収まらない状況ではありますが、この時点で米国10年債の利回りが1%を超えてきています。

このように上昇を続ける米国10年債と、株式のうちグロース株では逆相関の関係にある、と言われることが多いのですが、果たして事実なのかどうか、以下で確認をしつつ、正しいとした場合にそれがなぜなのか、というところまで考えてみます。

この投稿を読むとわかること
・グロース株とバリュー株の区別
・米国10年債利回りとグロース株の相関関係
・米国10年債利回りとグロース株が逆相関の関係にある理由

目次

グロース株とバリュー株

米国10年債利回りとグロース株を比較する前提として、グロース株と対比されるバリュー株の違いを確認します。

グロース株とは、今後の成長が期待できる株をいいます。成長期待が高まると投資家の人気が集まります。すると株価は上昇が続いていくことになります。感覚的には割高感があったとしても、成長が続いている限り、割高感を感じるレベルを超えてさらに企業価値が上がっていくので、投資家は割高感を気にせず投資をしていくことになります。

一方で、バリュー株とは、会社の実際の企業価値と比較して現在の株価が割安と評価されるような株をいいます。企業価値を測定する指標としては株価収益率(Price Earnings Ratio(PER))や株価純資産倍率(Price Book-Value Ratio(PBR))呼ばれるものがありますが、こうした指標が低いものがバリュー株とされます。
PERやPBRを説明し始めると長くなるので別の稿に譲ります。

米国10年債利回りとグロース株の相関関係

まずは事実の確認からいきましょう。

米国10年債利回りについては上でYahoo Financeのチャートを引用しました。
グロース株については、米国のグロース株で構成される典型的なETFであり、純資産はともに600億ドル以上で、超巨大資産運用会社であるバンガード社とブラックロック社がそれぞれ運用するVanguard Growth ETF(VUG)とiShares Russell 1000 Growth ETF(IWF)をピックアップして、これらと米国債10年利回りと比較してみます。
過去2年間の比較は以下のとおりです。

(Yahoo Financeより)

上記のチャートのとおり、米国10年債利回りとグロース株の株価は、きれいな逆相関とは言わないまでも、それなりに逆相関の関係にあることがおわかりいただけるのではないかと思います。
ハイパーグロース株と言われる、グロース株の中でも特に成長力が高く、それゆえに割高感も強い株というものがあります。ハイパーグロース株を集めたETFというものを見つけることができませんでしたが、仮にこうしたETFがある場合、おそらくさらにきれいな逆相関の関係を示すのではないかと思われます。

さて、問題はなぜこのような逆相関の関係になるか、です。

米国10年債利回りとグロース株が逆相関にある理由

上記のとおり、グロース株は割高感があっても成長期待があるということで、投資家は投資をしていきます。

この投資家とひとくくりにいいますが、投資家全体の約8割は、年金運用会社などの機関投資家(Institutional Investors)と言われており、個人投資家は約2割にすぎません。
年金を預かって運用するような機関投資家は、ハイリスクを冒しつつハイリターンを求めるという投資手法ではなく、リスクを冒さず確実にリターンを得るような投資を好みます。こうした確実なリターンが得られる典型的な投資先は米国債です。

一方で、米国債の利回りが低い場合、米国債に投資してもなかなかリターンが上がりません。そのため、割高感がありつつも、(おそらくやむなく)グロース株に投資をしていきます。

逆に、米国債の利回りが上がれば、米国債が優良な投資先になるわけですから、わざわざ割高感があるような投資先に投資をする必要がなくなる、その結果、グロース株の株価が下がる、という関係にある、と考えられます。

同様に、米国債利回りが上がった場合、暗号通貨などリスクが高い投資先も嫌気されて価格が下がる、というのがセオリーですが、現在のビットコインについては必ずしもそうは言えないようです。

まとめ

上記のとおり、米国債の利回りは、投資額の8割を占める機関投資家が特に注意する要素ですので、個人投資家も同様に注意する必要があります。

グロース株を保有し始めたら、そのグロース株の値動きだけではなく、是非米国10年債利回りを頻繁にチェックするようにしてみて下さい。

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