投資未経験者は何から投資を始めるべきか?【答え: iDeCoとつみたてNISA】

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目次

投資未経験者の投資についての一般論

こんにちはMitchです。

私は再生可能エネルギーに投資するファンドの組織内弁護士として主に活動していますが、同時に自分でも投資活動を行っています。
その投資活動の経験から、2020年の1年間で数回、投資をやりたいけど始め方が分からない、という初心者の方向けに、証券口座開設のお手伝いや、投資先の種類や優先すべき投資方法などをお伝えするオンラインセミナーを開催しました。
2021年の今年も、皆さんの金融リテラシー向上のため、こうしたセミナーや講演などを開催していきたいと考えています(2021年初頭の現在は新型コロナウィルスが蔓延しているため、今年前半はほぼオンラインでの開催になると見込まれます)。

先日投稿した「お金に関する目的と理由【決定的に重要な2つの要素】」でも説明したとおり、投資についても目的や投資先を選んだ理由が非常に重要です。

投資未経験者の方・初心者の方が投資を始める際、投資の目的として「老後2000万円問題の解決」を挙げられる方が多くいらっしゃいます。
参考: 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」
そこで、本稿では、投資の目的は「老後の生活資金を確保するため」ということで以下説明していくことにします。

この投稿を読むとわかること
・老後の不安を解消するためにまずやるべきこと
・iDeCoとつみたてNISAを勧める理由
・iDeCoのメリット
・つみたてNISAのメリット

老後の不安解消のためにまずやるべきこと

現在、リタイア後にどのような生活が待っているのか、不安を抱えている方も多いはずです。私も全く同様で、年金受給額も減少すると見込まれている中、自分が60歳、70歳になったときに年金だけで生活できないということは分かっているものの、それでは年金とは別にどれだけ必要なのか分からない、というのが正直なところです。

「老後2000万円問題」を巻き起こすきっかけとなった報告書「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」」は、「老後2000万円問題」という言葉だけが独り歩きしてしまい、実際にこの報告書を読まれた方は少ないのではないかと考えています。
非常に重要な報告書ですので、是非皆さんには時間をとって全文を読んでいただきたいと思いますが、「老後2000万円問題」という用語のきっかけとなったと思われる箇所を抜き出してみます。報告書の21ページです。

—–引用—–
(1)長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要
前述のとおり、夫 65 歳以上、妻60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では
毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30 年の人生があるとすれ
ば、不足額の総額は単純計算で1,300 万円~2,000 万円になる。この金額は
あくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支
出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合も
ありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くの
お金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要に
なってくるものと考えられる。重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年
齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的
年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみること
である。それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・
分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状
況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理
をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要
性を認識することが重要である。
—–引用終わり—–

ここでは、たしかに年金を考えても不足する金額が1300万円から2000万円だと指摘しており、そのための対策として、「生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要性を認識することが重要」としています。

そして、この長期の資産形成を行う手段として、2021年初頭時点で適していると考えられる手段は個人型確定拠出年金(iDeCo)つみたてNISAだと考えています。

なぜiDeCoとつみたてNISA?

なぜ「老後2000万円問題」を解決するための手段としてiDeCoとつみたてNISAがお勧めなのか、それは以下の2点に集約されると考えています。

  1. 初心者が長期の資産形成をするための制度として整っているから
  2. 税制面での優遇があるから

今回は、それぞれの制度の詳細を説明するのではなく、上記2点にポイントを絞り、以下でそれぞれ説明していきます。

1. 長期の資産形成をするための制度

iDeCo、つみたてNISAともに、投資未経験者や投資初心者が長期の資産形成をするための制度として十分に整えられています。

まずiDeCoについてみると、各証券会社で投資できる投資信託が限定されており、かつ、その投資信託を選定した理由まで説明されている場合が多いです。
私はSBI証券を通じてiDeCoに参加していますが、同社のiDeCo運用商品も限定されています。
同社が運用商品を選定した理由はSBI証券iDeCoセレクトプラン 運用商品一覧で知ることができます。
iDeCoの開始方法など詳細はあらためて投稿しますが、定時、定額で投資信託を購入することができ、投資の細かい知識がなくても始められるように、ある程度証券会社が投資信託を選定していることから、投資未経験者や投資初心者の不安を解消してくれる制度となっています。

つみたてNISAも同様です。
つみたてNISAの方は、証券会社ではなく、金融庁の方で限定しています。
金融庁があらかじめぼったくり商品に投資未経験者や投資初心者が騙されないように配慮しています。
つみたてNISAの対象商品(金融庁のサイト)
なお、類似の制度として一般のNISAがありますが、対象となっている投資先が多く、また、認められる期間も5年と短いため、投資未経験者や投資初心者にとってはつみたてNISAの方がよりお勧めです。

2. 税制面での優遇

投資信託を一般口座や特定口座で購入する場合と比べ、iDeCo、つみたてNISAは、ともに税制面で優遇されています。

iDeCoについては税制面で大きな優遇があります。
もちろんiDeCoとつみたてNISAどちらも始めるべき、というのが私の見解ですが、どちらかを先に始めるとすれば、iDeCoをお勧めしています。
(なお、iDeCoは50歳以上で開始しない限り、通常は60歳から年金を受け取り始めることができますが、この受取時期の点を挙げてiDeCoを勧めないとする考え方もあります。ただ、実質的にはつみたてNISAも制度の恩恵を享受するため開始20年後までつみたてNISA口座内で管理したままにするはずですので、すぐにお金を使うかどうか、という点ではiDeCoに対する指摘はつみたてNISAとの比較ではあまり的を得ていないように感じます。)
iDeCoでは、投資時に投資額を全額控除でき、運用益も非課税となり、受取時には、受取方法によって異なり、年金として受け取る場合には公的年金等控除、一時金としてまとめて受け取る場合には退職所得控除、それぞれの対象として控除を受けることができます。
iDeCo(イデコ)の3つの税制メリット(iDeCo公式サイト)

つみたてNISAは、iDeCoのメリットのうち、運用益の点のみ優遇を受けることができます。iDeCoと同様、運用益は非課税です。
具体的には、つみたてNISA期間中に得られたインカムゲイン(分配金)とキャピタルゲイン(譲渡益)は非課税、ということになります。

長期定額積立投資の最大のメリット

iDeCoやつみたてNISAのような、いわゆる長期定額積立投資の最大のメリットは

投資し続けているのに投資をしていることを忘れてしまうこと

ではないかと考えています。

証券口座からの自動引落しにしておけば、自分が投資をしていることを忘れてしまうくらいに勝手に投資額が積み上がっていきます。
毎日チャートを見ては投資のタイミングを見定める、ということを全くやらなくていいわけです。
つまり、最初にどの投資信託を購入するか、という点についての検討は必要ですが、その後は、投資についての細かい知識が要らない、ということになります。
この長期定額積立投資の手法は、投資未経験者や投資初心者にとって、投資のハードルを大きく下げてくれるものとなるはずです。
一部では最強の投資法と呼ばれている「気絶投資法」に通づるものがありますね。
下げ相場で知っておきたい最強の投資手法「気絶投資法」とは

まとめ

iDeCoやつみたてNISAのように、税制面での優遇を享受しつつ、長期定額積立投資をしていくことが老後2000年問題を解決する手段である、ということについて説明してきました。

資金的に余裕がある方は、更に特定口座で長期定額積立投資をしていくことをお勧めしますが、まだiDeCoやつみたてNISAを始めていない方は是非今から動き出してみて下さい。
特にiDeCoは制度が少し複雑で、会社の従業員の方は会社との書類のやりとりが必要になり、実際に開始できるまで数ヶ月必要になります。
早めに動き出していただき、老後の不安が解消されるきっかけになることを願っています。

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